キカクのジカク

 
あっという間に一ヶ月半が経った。
十月十九日今日この日は、theULTRALEAとしての初企画、石山はユーストンというライブハウスにて、爆音が鳴り響く日である。
 
取り置きしてくれた知人友人は、ちゃんと来てくれるだろうか。
全体の集客は?
ハコ代はちゃんと払えるだろうか。
声は出るだろうか。
弦は切れないだろうか。
忘れ物はないだろうか。
 
 
「緊張をする者は、準備をやり切っていない」
何かのドキュメンタリで、誰かが言っていた。
僕はきっと、準備不足なのだろう。朝から緊張していた。
 
自宅から、石山までは1時間あまり、かかる。流石のリクもこの日ばかりは遅刻をしなかった。
 
「あ〜緊張してきたあ〜」
カツキはこうして大事な日には言葉に出して緊張を明るみにする。
これに結構救われてたりもする。みんながみんな、緊張していることを堂々と言えなかったりするものだ。
 
車内には、いつもと少しだけ違う強張った空気が流れていた。
 
 
到着する。
企画者なので、もちろん一番だ。これも結構良かったりする。
到着して他のバンドがウジャウジャいると意識が散乱して集中できない。
 
まずは事務所に行って、挨拶。
イノウエさん、という人が担当してくれるようだ。イケメンである。元バンドマンっぽい。
後に搬入、ここはエレベーターがあるから、楽だ。
 
ホールに入る。
「ここでやるのか・・」
勿論出演したことはある。
HAJIMEMASHITEツアー以降もちょくちょくブッキングライブのお声がかかっていたからだ。
なのになんだろう。いつもと違って見える。
ホールに人がいないからか、僕らが「責任」をもってこの場所を借りているからか。
とにかく、いつもより大きく見えた。
ここに、あと数時間もすれば、僕らが呼んだバンド、僕らが呼んだ客、バンドが呼んだ客が集まる。
どれくらい入るのだろう。やはりこのハコ、デカい。
 
 
声がかかり、リハーサルをした。
多少の緊張感はあったものの、それなりに場数は踏んできた。以前のようにガチガチになることはない。
ところがリハも中盤という時に、ドアが空き、ゾロゾロと入ってくる人間が・・
 
Swimyの一行である。
タクミはいつもと同じく、少し眠そうに、挨拶をこなした。
僕だけじゃなく、バンドの血液が逆流した気がした。
間違いなく、今日のイベントが現実味を帯びてきている。
 
 
それから、リハは終わり、一組、また一組と出演するバンドが登場する。
全バンドのリハを見る。
どこも、僕らよりレベルが高い。
無論鼓動は早くなる、だけどそれは緊張だけが原因ではなかったのだ。
 
「このバンドひとつひとつ、この音楽人ひとりひとりを、僕らが呼んだんだ、
僕らが、このtheULTRALEAというバンドがいなければ、今日この日はない」
そんな貢献感により高揚し、高いレベルに臆せず喜ぶコトができている。
これが企画か。ブッキングライブと全く違う。
本当に、全く違う。
 
 
不思議と、素晴らしい一日になると確信めいたものを胸に秘めて、リハーサルをただただ見守った。