理想のブッキング

 
このバンドを呼べば、盛り上がる。集客がのぞめる。
そんな理由でメンツを揃えたくなかった。
自主企画というのは、バンドに、「俺たちのリリースを祝ってください。」ということでもある。
実際僕らにギャラを払う余裕はなかったし、形式上ぼくらの「企画」というだけであって、お金的な中身は変わらない。「チケットノルマ」を支払ってライブをすることになる。
多くのバンドはそうやって、恩を移動させながら、共存していく。
企画はその「共存」において、重要なツールだ。
 
 
兼ねてより劇的な興味を抱いていたWOMCADOLEをはじめに、
僕らは出演してほしいバンドに声をかけ始めた。
 
僕の高校時代の同級生。
バンドにおいてずっと先を走ってる、「Swimy」
彼らが出てくれたら、イベントは一段と締まるだろう。
食われないかが心配。
 
COCOZAにて、不思議なシンパシーを感じた青春パンクバンド、「ビデオデッキ」
正直この並びの中で、バンドとしてのキャリアは一番少ない(僕らと同期)
だが、何か底知れない可能性を感じる。というか好きだ。
 
野洲はバリハリにて、珍しく僕の年上のメンバーもいるポップロックバンド、「アイムノットオーケー」
正直、バリハリは、ジャンルも違う感じがしていた。
だけどこのアイムノットオーケーが、僕らを根強く呼んでくれた。
ビジュアルをしてる人間を一部フィルターをかけてみてしまっていた僕を変えてくれた。
 
浜大津ビーフラットにて、とにかくカッコいい先輩バンド、「Present for you」
背景に、エルレガーデンやハイエイタスを感じる。明らかに僕が通ってきた音楽を近い気がする。
演奏力、歌唱力において、紛れもなく「先輩」。
 
守山ブルーにて、ガールズバンド、「CUBE」
女性バンドといってなめちゃいけない。
僕らよりはるかにキャリアがあり、ステージングの堂々さたるや。
イベントに必ず華が出る。
 
 
このメンツが、僕らの企画で、ステージに立つ。想像するだけで、手に汗握る。
相当おもしろいことになるんじゃないか?
 
自然と僕が外交担当になっていた。
条件と企画に対しての思いをテキストにまとめ、それぞれの受け口に送信した。
 
 
なんとか、良い企画にしたい。
そのためには、どうしても集客は重要だ。
客が少なくても、「良いライブ」をするバンドはいる。
自分たちが「出演者」だけなのであれば、ただ「良いライブ」を目指せばそれでいい。
だけど、今回の僕たちには、「企画者」という役割が追加されている。
「良い企画にする」責任を背負っているのだ。
 
残された期間は約二ヶ月。
その間にすべきことをバンドでまとめた。
「灰色の工場」での仕事より五千倍エネルギーを使っている。
ここでかく「汗」は不快じゃなかった。
ここにある時計は、もたつきもせず動いてくれた。