ユーエルイーピー

 
時間がグンと圧縮されたレコーディングから数日後、僕は自宅にてジャケットのデザインを描いていた。
イラストやデザインに関しても、メンバーの中では一番僕ができるので、そのまま担当することになったのだ。
 
デザイン、と自分で言うと恥ずかしいほど、それはお粗末な作業だった。
PCの標準装備であるお絵かきソフトで、マウスで描く。
よくアニメーターとかが使ってる、画面にペンで直接描けるヤツ。あんなの欲しいなあと思いつつも、高額で手はだせない。
ただでさえ上手くないのに、慣れない環境での、デザイン。
「ああ、くそ」「なんか違うな」を何度も何度も繰り返す。
今までは、気まぐれでノートに落書きをする程度。
決められた枠で、決められたテーマで描くことなんて、まあない。
明らかに苦戦していた。単調な作業にやけに時間がかかる。
特に厄介だったのが、主役であるジャケット面ではなく、「内部」だ。
歌詞のフォント、メンバーの名前やクレジットの配置。「アチラをたてればコチラが立たず」と言った具合で、なかなかパシっと決まらない。納得しない。満足しない。
今回、キチンと業者にプレス依頼を出す手筈なので、盤面のデザインもしなければいけない。
プレス業者のサイトを見てみると、なにやらわけのわからん言葉が乱立してる。「レイヤー」がどうの「シルク加工」がどうの「K100%」がどうのって、もう訳がわからない。
昔から勉強はキライだった。宿題を家でやることなどない。僕の解決方法は、「勉強をすること」だった。授業中に、先生の話を「それなり」に聞く。そうしたら、「それなり」の点数がとれる。まあ、それは中学までの話で高校は寝てばかりいたけども。
 
なぜ今更になって、こんなに「勉強」してるのだろう。そして、誰にも言われず時間を注げる理由はなんだろう。
それはきっと、「ゴール」が明確だからだった。ジャケットが完成し、業者の指定通りのデータで入稿できれば、「CD」ができる。
その「ゴール」に向かって、僕はかなりの時間を費やすのだった。
 
これも、「はじめて」だ。
 
 
 
数日、数十時間後、液晶に映ったソレを見て僕は「おお・・・」と一人歓喜した。
赤い背景に、マスクをし、フードをかぶり、ナイフとグラスを持った少年を描いた。
「theULTRALEA」「u.l.e.p」とデカデカと文字を配置。ジャケットが、完成したのだ。
なんだかよくわからないけども、なんだかそれなりに上手くできた気がする。
これがケースに入ったら、CDショップに置いていても違和感はない気がする!
何度も何度も、拡大したり画面から離れて眺めたり、とにかくひたすらに愛でた。
その後入稿が完了。(データの仕様が間違っていて二、三度修正を挟んだ。)
届け先は僕の家だ。待ち遠しい。早くこの目で実物を見たい。
 
そうこうしていると、電話が鳴った。カツキだ。めずらしいな。
応答ボタンを押し、携帯を耳に寄せる。
 
 
「あ、もしもし。なんか聞いたんですけど、COCOZA、彦根にできるらしいですよ。」
 
 
「・・・え?」