とある居酒屋にて。

 
「久しぶりー」
指定された居酒屋の引き戸を開くと、そこにはルナの姿があった。
変わらない、屈託のない笑みで。
 
「いや、なんで浴衣なん????」
「いや、夏なんで」
予想通りツッコミを入れてくれた。迎えにきてくれたカキゾエとカツキの反応があまりに粗末なものだったので、ルナまで反応してくれないとなると、最悪「帰る」まであった。
 
「いやあマジで久しぶりやなあ。とりあえずビールで」
ルナは先にもう一杯空けている。酒乱癖が、直ってるといいけど。
カキゾエは運転なのでソフトドリンク。カツキは弱いので、カシスオレンジを頼んだ。女子か。
 
「ルナは結婚して?カツキとカキゾエは東京で?いまだに俺だけバンドやってるって面白いというかなんというか。」
「ちゃんとチェックしてますから」カツキの顔が、もう赤い。
 
「もうc.u.d時代のポップさは皆無ですよね。僕にはもう正直よくわからん!」何気にカキゾエもちょくちょくチェックしてくれてるのが面白い。
 
お酒が進むうちに、あっという間に時間は巻き戻った。
 
 
カツキが自動販売機から五千円札を取り出せなくなって僕が助けたこと。
いつも僕の家には女がいてビクビクしながら来てたこと。
ルナが就職で使う大事な書類を僕の家で無くしたこと。
カキゾエが僕の車を溝にはめてトラックに引きずり出してもらったこと。
 
解散からしばらく、特にカキゾエとの間には溝が生まれていた。だけどルナのおかげもあって、今こうして集まれていることが本当に嬉しく思う。
 
theULTRALEAとしてバチバチ活動してるけど、時折c.u.dの「匂い」を思い出す。
バカで、あったかくて、ラフで、眩しい「匂い」
 
彼らの間にも確実に時間は流れていて、どこかで、僕のことを気にかけてくれている。
 
「もっと頑張らないとなあ」
そんなことを考えて、酔っ払ってふらつき帰った。
 
「この人と昔バンド組んでたんだよ」そんな自慢を彼らにしてもらえるように。まだまだまだまだ。
 
theULTRALEAにも、c.u.dの血液は必ず流れている。なんてったって僕の人生を変えたバンドだ。
バンドばかりで、それ以外でお酒を飲むことは最近は少ない。
こういうのもたまにはいいな、そう思った。