時代と人間を超えて。

 
●二○二○年 自宅にて
 
theULTRALEAとしてyoutuberになることを決めて、数日。
 
まだソレは現実味を帯びてはいなかった。これから、僕らは一体どうなっていくのだろう。メンバーと共に話し、それからというものの、「新しい環境」にワクワクしている。これから、何の企画を作っていくのか。そのアイデアを膨大に出さなければならない。
 
僕らはバンドだ。映画も作ってる。そしてyoutuberになった。何かこう、そのどれもを裏切らない企画はないだろうか。先日のミーティングで、主に「キャンプ」をやっていくことになったのだが、そこに音楽のエッセンスはどうしても欲しい。
 
第一回は、僕が幼い頃から連れられ参加していたキャンプ場(とはいっても誰も管理してはおらず、ただ雄大な自然があるだけ)で行うことになった。僕はキャンプが好きだ。幼い頃に毎年当たり前のように参加していた、というのもあるけれど。普段関わらない人間が集まり、酒を飲み、語らって、悪い環境で寝る。自宅に帰ると、いつもは感じない食卓やベッドに対する感謝を真に受ける。その一貫したプロセス全てが好きだった。昔は、兄貴も参加してた。今じゃ考えられないけど。確かにそこにいたんだ。そうだ、cloudy under dog時代の「MENTOL」は、次兄であるヨウ君と一緒に作曲したモノが原型になっている。
 
今、通り過ぎて 遡って しがみついてさ
 
街の風 髑髏盗んで逃げた
 
こんな歌詞は僕じゃ書けない。
 
普段過ごせないから、その時間がスペシャルだった。風と木々の匂いを感じながら作った曲だったから、イメージカラーは自然と緑になった。
 
そこから何年か経ってから、c.u.dで本格的に楽曲にしたんだっけ。
 
僕は、c.u.dの1st demoを探し始めた。部屋は汚い、と思う。否定はしない。何よりモノが多い。そこら中ホコリだらけだ。だけど自分なりのルールというか、こだわりがあってね。できるだけどこに何があるのかはわかるようにはしてる。毎回探してると効率が悪いからね。普段あまり音楽は聴かないけど、長くバンドをやってるとそれなりにCDは持ってる。名刺がわりにCD渡す、アレね。僕も何枚も渡してきたし、何枚ももらってきた。僕のCDラックは二段。上段がアマチュア、インディで、直接もらったやつ。下段がCD屋さんとかで買った、いわゆるプロのやつ。
 
c.u.dの1st demo 「cloudy under dog」は上段の左奥に、居た。
 
「なつかし…」思わず声が出るほどだった。僕がデザインしたこのジャケ。自分で作ったモノだからこそ余計当時のことを思い出すことができる。PCで、ペンタブなんかないからマウスで描いた。早速CDプレイヤーに入れて、聴いてみる。
 

うん。音質悪いな(笑)当時MTRで自作で作ったモノだからしょうがないけど、でも何だろうな。今のウルレアよりメロがキャッチーだし、素直にいい曲だ。自画自賛だけど。
 
思い出に浸っている間に、僕にひとつのアイデアが浮かんだ。
 
自作音源、youtube、キャンプ、兄貴、cloudy under dog…
 
僕らがyoutubeの撮影で泊まるキャンプ地は、「MENTOL」が生まれた場所だ。
 
兄貴、cloudy under dog、そしてtheULTRALEA。関わる人間が変わって、また新たにこの音楽に息を吹き込むことはすごくスペシャルなことじゃないか?
 
野外でMVを撮影するのは良くあることだけど、野外でレコーディングは聞いたことがないし、面白い。
 
僕は早速スマホのメモにアイデアを記して、次のミーティングを楽しみに眠った。