ファーストコンタクト

 
つい先日の電話から程なくして、遂に四人が集まることとなった。
 
心拍数がいつもより高い。
 
集合場所はカキゾエのマンションだった。
 
人の家ってなんでこうも匂いが違うんだろうな。カキゾエの自宅は、彼に似つかわしくなく、新しい、というかなんというか、「清潔」な匂いがした。
 
彼の自室に案内される。そこにはカツキとルナの姿があった。「これからバンドをやるかもしれない相手」とのファーストコンタクトには、なんとも歯痒い空気が流れる。そつなく挨拶をし、向かい合った。
 
カツキは見るからに人見知りなようで、分かりやすくもじもじしている。華奢な体つきだが端正な顔つきで、もっと堂々とすればいいのに。一番経験も多いはずだし。
 
ルナ、ルナの第一印象は笑顔。「ああ、そういえばこんな顔だったな」と思った。「お疲れさまでーす」なんて軽快に言葉を交わしてくる。コミュ力は高め。
 
全員年は下だけど、カツキとルナに関しては「バンドマン」として僕より先輩だ。カキゾエに関してはこんな性格だし彼らとは同級生。そこには虚勢も萎縮も存在しない。つくづく、得なヤツ。
 
「・・・ということでバンド結成ってことで!」
 
軽快な声が響いた。カキゾエだ。
 
「いやいや、早い早い(笑)俺でほんまにいいの?」
 
ある意味カキゾエが空気をほぐしてくれた。そこから「話」が始まったと思う。
 
今のところ彼らから僕に尊敬するところなどないはずだ。そして僕の歌など聴いた事もないはず。ただ二つ上の、同じ高校の先輩なわけで。いくら趣味バンドとはいえ、お互い探り探り暗黙の「審査」みたいなモノがあるのかな。嫌だな。
 
「僕は全然」カツキは僕の目を見て言った。所作や口ぶりからしてカキゾエよりIQは高そうだ。そして相対する人間を不快にさせない雰囲気がある。
 
「私もー」ルナ。コイツはあんまり深くは考えてなさそうだ。
 
カキゾエは、何を見出して僕をバンドに誘ってくれたのだろう。
 
少し彼に感謝して、少し浮ついた気分で。
 
何はともあれ、「バンド」を結成した。
 
それからは、それぞれの境遇を話した。とはいっても、どこの大学に行ってるかだとか、どこでバイトをしてるかだとか。そんな事。
 
それでも着実にお互いを知り、少しずつ「バンド」になっていく。
 
超初心者でボーカルの僕と、同級生で仲のいい三人のメンバー。
 
アンバランスな気がしたけど、居心地は悪くなかった。